経営実績(経営収支・損益等)を裏付ける取り組み内容等

(1)銘柄牛の生産・販売(高付加価値生産による収益性の向上)
 

丹精こめたおいしい牛肉を地域の消費者に食べてほしいという考えで、
昭和48年に葉山町肥育組合を結成、56年には現在のブランド三浦葉山牛の前進である葉山牛ブランドを立ち上げ、首都圏の消費者に人気が出てくると葉山町だけでは生産が間に合わず、 昭和60年に三浦半島全体の肥育牛生産者に声を掛け、現在の三浦葉山牛がつくり上げられた。
平成4年には神奈川県のかながわブランドに指定され、またこの年に念願の牧場直営のレストランもオープンし、地元を含めて各地から三浦葉山牛を食べにくる来店客に好評で売上げも順調である。
都市近郊の住宅地の中での規模拡大には限界があり、和牛肥育によるこのような高付加価値生産は経営の収益性向上の重要なポイントである。

(2)低コスト生産(過剰な設備投資はせず堅実な経営)
 

高級ブランド維持のために能力の高いもと牛を導入しなければならないため、素畜費を削減することは難しいが、その他の費用についてコスト低減対策を行っている。
@ 食品副産物の活用による飼料費の低減。
A 畜舎や堆肥舎は古材、古電柱を使用した低コスト施設。
B 安い廃材を利用した敷料による良質な堆肥生産。

(3)給食センター
 

高級ブランド維持のため同じ条件で肥育出来るように飼料の統一化を図った。
先に述べたようにこの地域では、食品粕と濃厚飼料を自家配合した飼料を肥育牛に給与しているが、その配合割合は各生産者で異なり仕上がりにバラツキが生じやすいことから、 平成5年度に国と県の補助を受け、混合飼料調整施設の整備を行った。
いわゆる牛の給食センターで、効果はすぐに現れて各生産者の肉質や等級、枝肉重量等が向上・安定している。

(4)低コスト生産・高付加価値販売をささえる経営管理と肥育技術
 

費用を低減し高く販売すれば儲かる。当たり前のことだが、これを実現することは並大抵のことではない。
記録記帳の励行により肥育牛の導入状況、血統情報、販売成績を常に把握し経営の進行管理に努めている。パソコンの導入により簿記、個体管理が更に効率的に行われるようになった。
飼料費低減のための食品副産物を利用した配合飼料を給与した肥育牛を高付加価値販売することによって高収益を上げているが、 自家配合の配合割合をひとつとっても長い年月の研究と失敗の繰り返しによる経験と努力の結果である。
この自家配合は一晩寝かせて発酵させてから給与している。発酵した飼料は嗜好性が高く、消化吸収も良く、風味のあるやわらかい三浦葉山牛を生産する重要なポイントである。
もと牛の導入は現在、岩手、北海道が中心だが高品質牛肉生産のために常に優秀な系統を研究し市場を選定している。もと牛の選定基準は血統はもとよりDG1.0キロ以上のものを吟味して導入している。
肥育前期(導入後4〜5か月)には良質粗飼料を十分に給与し除々に配合飼料を増やし、スムーズに後期の餌に移行する。
肉質、特に肉色に影響を及ぼすストレスの軽減のため削蹄、換気、牛床の乾燥に十分注意しており、牛舎環境は常に良好に保たれている。このことは、図らずも臭気対策にもつながっている。

(5)ふん尿処理・堆肥販売
 

ふん尿処理は敷料を混合して堆肥化したものを三浦半島の野菜農家に販売している。
敷料には安い廃材チップを使用しコスト低減を図っている。露地野菜の産地である三浦半島という地域の中での効率的な堆肥販売は地域の野菜農家にも喜ばれ、経営的にも収益向上のための重要な収入源になっている。

 

 

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(社)神奈川県畜産会 2005