■ 経営実績の特徴

■ 経営実績(経営収支・損益等)を裏付ける取り組み内容等

【経営理念】
 1.環  境  対  策 @堆肥化施設の導入 共同施設
Aコーヒー炭の利用 肥育豚に給与(0.7%)
B公共下水道への放流 全量放流・一部堆肥化
Cオゾン装置の導入 子豚舎・育成舎・肥育舎
D豚舎周囲への緑化 景観

 2.生産コストの低減

@未利用資源の活用 銘柄豚の誕生
A健康豚の生産 既存施設の有効活用
 3.衛  生  対  策 @SPF豚の導入 サイエンスブリーディング
Aオールインオールアウトの実施 豚房の消毒徹底
 4.販  売  対  策 @新銘柄豚の誕生 はまぽーく
A共同出荷 はまぽーく 協議会
B情報機器の活用 ホームページの誕生
 5.地  域  振  興 @学校、消費者との交流 市内の小学校
A流通業界との交流 買参組合の後継者
 6.後 継 者 振 興 @農業経営士間との交流 組織活動への参画
A後継者 獣医師としての育成
昭和期
  • 昭和24年は横浜市内の中華街から残飯を運び肥育豚を導入し残飯養豚経営で現在の横浜食肉市場に出荷し、その後に徐々に規模拡大を展開してきた。品種はランドレース種が大部分であり、県内の家畜市場より、概ね40s前後の子豚での導入していた。
  • 昭和34年には「有限会社・横山養豚」としての法人化に切り換えた。残飯の収集運搬は早朝でありトラックの荷台にドラムカンに載せ自宅まで運搬し、その後に家畜伝染病の対策から煮沸し肥育豚に給与していた。
  • 40年代に入り国内の養豚状況が変わり子豚生産経営及び種豚経営から一貫経営と大きく変わった。また、地域に並行的に一貫経営が増えたこともあり、出資者の養豚農家への子豚の供給の使命が薄れ始め一貫経営に切り替えた。母豚候補としてはLW種を中心として、時には市外の養豚農家にも配布した。
  • その後、昭和60年代に入り種豚経営から大きく繁殖一貫経営に移行しつつ、企業的経営の足固めを図った。繁殖豚100頭から繁殖豚200頭へ徐々に規模拡大を図りつつ、出資参画している養豚農家12名も同様に一貫経営への基礎固めを図った。繁殖一貫経営の技術は主に米国から普及したため、必死で米国及び県内の試験研究機関等からの情報入手を図りつつ、徐々に施設整備を増やしながら規模拡大に移行してきた。特に疾病等の蔓延防止から、素豚の生産は長年の種豚生産のノウハウを生かして農場内での一貫生産体制を整備した。これらの規模拡大に伴い、環境整備も必要性となり、研究機関から技術情報を導入しながら行政等の指導に基づき大規模処理施設の整備を強化した。また、労働生産性を向上するため、従来の地域内労働力の調達から良質なる雇用労働力の確保を図りつつ、近隣の大学等とも連携し、技術交流の推進を強化し、ふん処理方法等に大型のコンポ乾燥機の導入を図りながら堆肥舎を設置し、堆肥は近隣の野菜農家へ供給する流通体制を整備した。
平成期
  • 平成期に入り本格的に企業的経営の足固めとして施設整備を再点検を行い、行政等の事業を活用し先進的技術を導入したストール舎及び離乳ウインドレス子豚舎の増設を行った。また、並行的に特に長年の増設による施設整備であることから豚の移動等に配慮し、豚舎内における糞尿分離の徹底を図るために肉豚舎、分娩舎、ストール舎等の床面の改造を重点的に行った。その後、繁殖豚320頭までに増頭したところ、慢性疾病の発生も多くなり子豚育成率が低下し始めた。このことから家畜保健衛生所の県指導機関等とも連携しワクチン接種方法及び飼養方法の工夫から徐々に改善されてきた。また、繁殖成績の向上策から人工授精技術を採用し、産子数の増加及び種付け時の省力性などが大幅に改善された。また、新たに消費者からの声として「美味しい豚肉」作りが求められ、大ヨークシャー種とランドレース種を交配したF1に種雄豚としてデュロック種を交配した三元種が主体となって進めている。特に最近においては県内の統一銘柄ブランドである「夢ポーク」にも参画している。
  • また、規模拡大とともに糞尿処理施設の整備の急務が求められ、近隣の酪農家との共同で環境整備組合を設立し堆肥舎関連施設を整備し、また、平成12年度には発酵乾燥機「コンポスト」を導入した。
  • 社員の技術向上と技術情報収集から県、市、農協等の主催する共進会及び部会等に積極的に参画する機会を図った。また、種豚更新のために海外からの情報入手のため、社員を米国等に視察研修に参画させた。
  • 会社と出資者との連携強化を図るため、定期的に役員会を開催し情報交流を図りつつ、経営の戦略性を検討した。
  • 将来の経営発展のために長男を獣医師に育成し、現在は技術習得のために他県で研修させている。長女も養豚に興味を持つことから自社で雇用しながら、養豚分野での行事等にも参画させ、将来は養豚農家の嫁さんとしての教育もしている。
  • 横浜市福祉局と連携し障害者の社会進出の一環として障害者を雇用している。この様なことが他市にも影響を与え、この様な事例が散見されており、間接的に養豚界の地位向上を図っている。
■ 現在までの先駆・特徴的な取り組み
経営・活動の推移のなかで先駆的な取り組みや
他の経営にも参考になる特徴的な取り組み等
取り組んだ動機、背景や取り組みの実施・実現に
あたって 工夫した点、外部から受けた支援等

(1)ウインドレス子豚舎の建築

子豚育成率の向上と環境対策(臭気)等から横浜市緑化センターの指導のもとにウインドレス子豚舎に切り換え、疾病発生からも大きな成果を得ている。

(2)オゾン送風による発育性の向上

横浜市緑化センターの獣医師の指導に基づき子豚及び肥育豚の発育性を良くするために舎内にオゾン送風を行なっている。また、舎内の臭気軽減にも効果があり、周囲の住民からの苦情発生が少なくなった。

(3)ふん尿の公共下水道への放流ができるようになった。

近隣が急激に住宅開発が行われたともに、敷地までの近くまで公共下水道が整備された折から、部会活動の一貫として行政に折衝し放流が可能となった。

(4)臭気軽減のために肥育豚にコーヒー炭を利用する。

開業獣医師等のアドバイスで肥育豚用の飼料にコーヒー炭(リサイクル品)を添加し臭気軽減に努めている。

(5)市内の学校給食残渣飼料を利用している。

横浜市及び関係指導機関の指導に基づき、廃棄物処理会社が市内の学校給食残渣を飼料化し、横浜農協養豚部がこの飼料を利用し新ブランド豚肉「はまぽーく」を誕生させ市内の流通業界で大きな人気を呼んでいる。

(6)障害者を積極的に雇用している。

横浜市福祉局と連携し障害者を雇用し、他市に大きな示唆を与え、養豚界の地位向上を図っている。

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(社)神奈川県畜産会 2005