■ 活動の成果・評価
■ 活動成果の内容
1. グループ平均のやまゆり率(上物+やや厚脂)の向上とグループ内のばらつきが少なくなり、全体の技術の水準が高度化してきた。 (図1)

やまゆりポーク生産者協議会の主要構成メンバー11農場のやまゆり率
(上物+やや脂厚で均称の良い物を加えた率)の年次推移
ある農場(H)のやまゆりポーク生産協議会への参加前後の出荷成績(表1)を比較したところ、加入前は年間出荷肉豚の平均落ちもの額は30円程度であったものが、参加2年目には上物平均額で取引出来、10年目には平均で20円のプレミアが付き安定的に販売されて、グループ内のトップクラスの成績となった。
| H農場のやまゆりポークグループ参加前後の肉豚出荷成績の年次推移 (表1) |
| 年 |
平均母豚数 |
肉豚出荷
頭数 |
上物率 |
極上頭数 |
プレミア
販売単価 |
| H2 |
86.5 |
1,790 |
30.1 |
0 |
-30.7 |
| H3 |
89.8 |
1,929 |
35.6 |
0 |
-27.6 |
| H4 |
89.3 |
1,750 |
38.3 |
0 |
-31.1 |
| H5 |
102.9 |
1,827 |
43.6 |
0 |
-29.3 |
| H6 |
136.5 |
2,264 |
56.7 |
0 |
0.7 |
| H7 |
146.3 |
2,914 |
64.3 |
0 |
8.3 |
| H8 |
148.6 |
3,012 |
75.1 |
0 |
13.7 |
| H9 |
135.8 |
2,950 |
73.1 |
14 |
17.5 |
| H10 |
133.2 |
2,818 |
76.2 |
28 |
13.9 |
| H11 |
136.8 |
2,789 |
78.5 |
42 |
22.3 |
| H12 |
135 |
2,548 |
74.5 |
68 |
21.5 |
| H13 |
133.1 |
2,575 |
76 |
155 |
6.1 |
| H14 |
127.7 |
2,815 |
83.8 |
233 |
19.2 |
| H15 |
118.4 |
2,496 |
72.9 |
14 |
19.1 |
注)平成(H) 5年にやまゆりポークのグループに加入し、この時経営拡大を行った。
2. グループ平均のやまゆり率の向上と共に、やまゆりポークとして(プレミアム販売:枝肉市場上物価格に25円(16年6月より30円)を上乗せし販売)販売できなかった枝肉の上物価格からの落ち物価格差が少なくなり、年間枝肉販売単価が上昇してきた。
神奈川県畜産会が実施している養豚農家の年間平均販売単価を年間横浜食肉市場の白上物市場の平均価格と比較したところ図2に示すように平均30円の落ち幅で取引されていた。
やまゆりポークのプレミアム販売の効果は図に示すように平成11年からの11農場の平均販売価格の推移はほぼ全頭が上物以上の価格で取引され13年以降は徐々に上昇し平成16年度には平均10.4円高で取引されている。(図2)
やまゆりポークに評価されたものは市場上物価格の30円上乗せ価格(プレミアムをつけて、JA全農の食肉販売所が購入し、やまゆりポークのシールを添付し、Aコープや食肉専門の小売店に卸している。
通常販売をしている、畜産コンサルテーション受診農家は豚価の下がった年にはその引き値は少ないが、平成16年のように豚価の高い年には枝肉1k当たり平均30円の引き値で取引されているが、やまゆりポーク生産協議会のメンバーの年間約2万頭の16年の平均販売価格は市場上物価格から約10のプレミアムが付き、一般の販売とは40円の格差となっている。
3. 肉豚共進会での成績はやまゆりポーク生産者協議会の発足後では、平成9年度、13年度、17年度、グループの多くの農場はこの共進会で常に上位を占め、神奈川県内の養豚技術・豚肉質の品質向上のお手本となっている。
■今後の課題
1 やまゆりポークはブランドとしては安定期にあり、関連事業者が更に発展するためには、生産基盤の拡大のため参加農家の拡大が必要となる。
2 飼料事情の変化や食肉市場のニーズに合った高品質豚肉が生産出来るよう、より高品質で安価な飼料の改良を、やまゆりポーク生産者協議会と生産振興と販売促進に共に取り組んでいるJA全農神奈川県本部とが協力して取り組む必要がある。
3 産肉能力の改良で市場性のある豚肉生産がグループ全体として生産出来るようになったが、一方繁殖性では子豚生産頭数が少ない傾向にある。 繁殖生の向上には売参人のニーズとの兼ね合いで、交配繁殖豚を生産する純粋種の段階での家系選抜や組み合わせの検討が必要である。
4 ブランドの長期維持で取引業者や消費者に安心感が定着し、ファンは固定している。しかし、さらに事業拡大するには現在行っている管理方式の情報をトレーサビリティー情報として消費者に提供する方法を検討する段階である。
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