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かながわ畜産ひろば
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平成22年度

平成22年度畜産経営技術高度化促進事業

 本県の畜産は、畜産物需要の増加を背景に順調な発展を遂げ、先進的な取組みにより全国を牽引する役割を担ってきましたが、都市化や経営者の高齢化等により飼養農家数が減少し、規模拡大も困難なことから、飼養頭羽数も減少しています。また世界貿易機関(WTO)農業交渉や対豪との経営連携協定(EPA)交渉等の影響による経営不安の拡大、都市化による環境対策、経営者の高齢化等により極めて厳しい状況にあります。特に、米国等におけるバイオエタノール増産を起因としたトウモロコシ価格の急騰による飼料価格の高騰や長期高止まりは、生産費を押し上げており、更に景気の低迷等による畜産物価格の低迷など、再生産を可能な所得が確保できる補償制度が確立されていない現状においては、畜種を問わず喫緊の課題になっています。

 このため、自給飼料の増産やエコフィードの利用促進を一層図るなどコスト削減、生産性向上に努め、融資等を利用するなどにより安定的な資金運用を図る必要があります。また、平成22年4月に宮崎県で発生した口蹄疫は、非常事態宣言が発せられるなど畜産関係者のみならず、地域経済を揺るがす大きな問題となり、本県の畜産への影響も懸念されています。更に、近年においては生産者の法令等遵守(コンプライアンス)や食に関する知識と食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践できる人間を育てる「食育」という考え方が求められる状況にあり、畜産農家の果たす役割は益々重要になっています。

 こうした中、国は、農政の大転換させ「食」と「地域」の早急な再生を図る政策体系を再構築するため、平成22年3月、新たな「食料・農業・農村基本計画」を策定しました。また、戸別所得補償制度の導入、「品質」「安全・安心」といった消費者ニーズに適った生産体制への転換及び6次産業化による活力のある農山漁村の再生を基本政策とし、平成32年度までに供給量ベースでの総合食料自給率50%の達成を目指しています。

 こうした国レベルの動きがある中で、神奈川県では、平成18年4月に「神奈川県都市農業推進条例」を施行するとともに、平成17年3月に策定した主要農産物の生産努力目標を盛り込んだ「かながわ農業活性化指針」を22年度、改定に向けた検討が始まっています。

 一方、畜産会では、高い経営技術と先進的な感覚を持った畜産農家の皆さんと連携して、畜産物の生産振興と消費拡大のための各種イベント等を行うとともにインターネットを活用して、畜産の広報・啓発に努めています。経営診断成績や生産流通情報の提供、また、家畜排せつ物の処理や悪臭問題などの環境整備などに積極的に取り組み、畜産経営支援に一層努力していることろです。

 本誌は、平成21年度に畜産会が実施した、「畜産経営技術高度化促進事業」による診断結果について、概要を取りまとめたものであります。皆様がこれからの畜産経営改善や指導資料として、本誌がお役に立てば幸せに存じます。

    平成23年3月

                                 社団法人神奈川県畜産会

                                 会 長 石 井  清 

 

分析結果と考察