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平成21年5月号(第581号)

総力結集・畜産危機突破


 
平成二十一年度
 県畜産関係当初予
 算の概要について

 神奈川県では、「神奈川力を高め、新たな時代を創造する」という基本理念のもと、県民の皆様一人ひとりが生き生きと心豊かに暮らすことができる地域社会を目指し、総合的な取組みを推進しています。
 平成二十一年度の畜産関係当初予算は、飼料価格の高騰や畜産物価格の低迷等による厳しい畜産経営を支援するため、昨年九月の補正予算において計上した「食品残さ飼料化促進対策事業費」を拡充したほか、「かながわ産牛肉地産地消推進事業費」を新たに計上し、酪農家と肉牛農家が連携した「かながわ産牛肉」の生産体制を構築します。また、依然として国内での発生が危惧される高病原性鳥インフルエンザなど家畜伝染病の予防対策や畜産環境対策等を重点的取組みとして予算計上しています。
 県財政が厳しい中ではありますが、これらの事業を推進するため、畜産関係当初予算額として、六億一四四〇万円余を計上しています。以下に主な予算の概要を紹介します。

@畜産技術振興関係
 一九、五〇〇千円
 畜産経営の健全な発展と畜産物の安定供給を図るため、先進的技術を活用した高品質・低コスト生産等による経営体質の強化推進、消費者の畜産に対する理解醸成と畜産物の消費拡大を図るための生産者の取組みや家畜放牧に対する助成など、各種事業を実施、支援します。
A畜産飼料対策関係
 四、三五一千円
 安全な畜産物の生産を図るため、飼料の適正使用に対する指導、立入検査、成分分析を実施するとともに、自給飼料の増産を図るため、本県での生産に適した奨励品種の選定などを実施します。
B畜産物消費拡大事業関係
 五三、五八三千円
 地産地消の推進及び飲用牛乳の消


費拡大による酪農経営の安定と児童生徒の体位・体力の向上に資するため、県内産牛乳の学校給食への供給に助成します。
C生乳流通改善調整事業関係
 六、三〇三千円
 生乳の計画生産と流通の合理化、新鮮な良質生乳生産のために乳質改善等の推進や加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づく生乳の用途別取引数量の確認を行います。また、酪農経営の安定に取り組む酪農団体を支援します。
D食肉鶏卵流通改善事業関係
 二一〇、三六八千円
 県民に新鮮で安全な食肉を安定的に供給する神奈川食肉センターを整備するための借入資金の償還及び経営を支援します。また、養鶏経営の安定を図るため、鶏卵の価格安定制度を支援します。
E酪農肉用牛対策関係
 二、四〇〇千円
 酪農経営の安定に取り組む酪農団体を支援するとともに、県民に安全で安心な牛肉を安定的に供給するため、酪農家と肉牛農家が連携した「かながわ産牛肉」の生産体制を構築します。
F畜産経営環境整備事業関係
 一九、八〇六千円
 畜産経営に起因する環境問題の発生を防止するための総合的な調整・指導を行うとともに、環境保全のために必要な家畜排せつ物処理施設等の整備を助成します。また、畜産環境改善に必要な機械・車両等の畜産環境機械リースを助成します。
G大野山乳牛育成牧場関係
 三四、〇三二千円
 子牛の育成条件に恵まれていない本県において、放牧育成を実施し、優良後継牛を確保します。また、県民が体験できる「交流活動」に取り組み、畜産業、自然環境及び地元産業と県民との交流を図ります。
H家畜改良事業関係
 六、三一五千円
 優秀な能力を持った種畜を確保し、家畜の改良を推進する事業を実施します。
I養豚対策関係
 一七、六六六千円
 系統豚カナガワヨーク(大ヨークシャー種)と系統豚ユメカナエル

(ランドレース種)の維持やその系統豚を活用した銘柄豚の普及推進を図ります。また、養豚経営の安定を図るため、豚肉の価格安定制度を支援します。
J未利用資源畜産飼料化関係
 四、三○七千円
 畜産物の生産コストの低減と有機性資源(バイオマス)の利活用を推進するため、食品残さの飼料化技術について研究開発を行います。
K食品残さ飼料化促進事業関係
 一、○○○千円
 食品残さの利活用の一層の推進を図り、飼料自給率の向上を通じて畜産経営の体質強化を図ります。
L牛群能力向上関係
 二、八〇五千円
 県民への牛乳の安定供給と酪農経営の安定化を図るため、受精卵移植技術の活用、雌雄産み分け技術の現地実証による実用化及び牛群検定に基づく選抜淘汰による乳用牛の改良増殖を推進します。
MBSE特別対策事業
 一七、一一○千円
 BSEの発生を予防し、まん延を防止するため、牛海綿状脳症対策特別措置法に基づき二四か月齢以上の死亡牛全頭を検査するほか、飼料の製造から使用の各段階における飼料の安全性の確保を推進します。
N家畜保健衛生関係
 一○九、○一九千円
 高病原性鳥インフルエンザ等家畜伝染病の発生予防及びまん延防止、豚オーエスキー病ワクチン接種経費への助成等、効果的な防疫体制を推進します。また、動物用医薬品の適正使用を指導し、畜産物の安定生産と安全性の確保を図ります。
O畜産技術センター試験研究関係
 一○五、八三九千円
 優良家畜の造成を推進するための受精卵移植技術の高度化、環境負荷物質の低減法の実用化、粗飼料多給型育成技術の開発、豚脂肪蓄積に関する遺伝子の解明等、生産現場のニーズに応えた研究開発を行います。
     (畜産課管理・畜政班)



 
はまぽーく販売五周年
記念祝賀会開催

 平成二十一年四月十日(金)に横浜市のいせやま会館で、横浜農協食品循環型はまぽーく出荷グループ主催による、はまぽーく販売五周年記念祝賀会が盛大に開催されました。  はまぽーく出荷グループ鈴木会長より現在に至る経過がスライドを用いて説明があったあと、畜産技術センター竹本普及指導部長、石川横浜農業協同組合長他の来賓祝辞があり祝宴に移りました。
 参加者は行政、畜産団体、食肉市場、食肉販売・加工業者、市内レストラン関係者等と多岐に渡っており、はまぽーくが現在に至るまでに、いろいろな人の支援があったことが伺えました。
 すっかり定着したはまぽーくでありますが、五年後にはおいしさだけでなく、いろんな味のしみこんだ横浜の特産品として、更に飛躍発展する事を願っています。
           (総務部)


 
たまごを食卓から遠
ざけることは、あら
ゆる面でマイナスです

 平成二十一年四月二十二日(水)横浜アリーナで日本鶏卵生産者協会(神奈川県支部)主催の「たまごとコレステロールのゼミナール二○○九」が開催されました。
 「世界一の長寿国日本」とコレステロール、そしてたまご。このことをキイワードに浜松医科大学名誉教授高田明和先生、(前)米国鶏卵栄養センター所長ドナルド・J・マクナマラ先生他による講演があり、その後、料理研究サプリメントアドバイザーの資格をもつ小野崎桂さんを座長としてNPO法人食生態学実践フォーラム理事薄金孝子先生らを加えたパネル ディスカッションも行


われました。
 従来の間違ったコレステロールの情報や、最近の正しいコレステロールの知識を解りやすく説明され、大変参考になりました。
 ゼミの開催に当たり、県畜産課、古性課長から挨拶を頂き、三五〇名が参加するゼミは大成功に終りました。これを機会にたまごの消費拡大や健康管理に役立つ事を期待いたしています。
         (経営指導部)


 
神奈川県農業法人協会
第七回総会開催

 平成二十一年四月二十日(金)横浜市内ローズホテル横浜で神奈川県農業法人協会の第七回総会が開催されました。
 現在会員は三十五法人ですが畜産部門が主体となって活動しています。
 総会の冒頭、笠原会長より世の中百年に一度の不景気に見舞われているが、会員はみなさん食に係わる企業であり、ある意味ではよかったのではなかったか、また、設立して十年が経過し、今後ますます協会の充実を諮り神奈川から様々な情報を発信していきたいと挨拶がありました。
 現在、農地法の改正が進められておりますが、畜産にとどまらず広く農業に携わる多くの法人が参画し、都市型畜産を推進する必要があると思われた。
 また、席上、会員の有限会社ブライトピックが平成二十年度食品リサイクル推進環境大臣賞・優秀賞を環境大臣から受賞したことが紹介されました。
         (経営指導部)




レモンスカッシュとウドンと
天丼を代用食でも腹一杯!

 長野の郷土料理「おやき」を買おうとしたら長い行列でした。食べ物を買う為の順番待ちで思い出したのは食糧難の幼い頃の事です。食糧の殆んどが国家統制されて「○○の配給ですよ」の声に我先にとんで行って並んだものでした。配給だから皆が平等に購入できるのかと思いきや、列の後方では品切れになったのを憶えています。
 「おやき」とは小麦粉をこねた生地に、いためた野菜、かぼちゃ、きのこ等を包んで蒸して焼いたものです。主食の米以外に卵肉乳はおろか良質の栄養源が無かった頃、米の代わりに食べる物は皆「代用食」と称したので、美味しい「おやき」も芋もカボチャも代用食です。毎日カボチャばかり食べていたら皮膚が黄色くなりましたね。
 四月五日、北朝鮮は人工衛星の打ち上げを世界に公言して、日本には挨拶も無しに頭越しに弾道ミサイルを飛ばしました。幸いにも日本国土に落下するような事故はなかったものの、一段目は日本海に、二段目以降はバラバラになって太平洋上に落下しました。人工衛星の「代用」が失敗弾道ミサイルでした。でも、北朝鮮は衛星打ち上げ成功と発表し、衛星からは金将軍の歌を470メガヘルツの電波で地球上に送っているそうです。
 どうして、こうも嘘がつけるのでしょうか?日本も六十数年前までは国民に嘘をつきました。「大本営発表・我が軍の損害なし」をお腹を空かせながら聞いたのを思い出して、北朝鮮の人達は今何を食べているのか、日本人の拉致被害者の方々の食事は?と考えてしまいました。
 ミサイルを発射したのは四月五日でしたが、もし一日だったら、エイプリルフール。「衛星打ち上げ成功おめでとう。衛星から流れる金将軍を称える歌が聞こえますね。でも周波数は470メガヘルツではなく


て、どうやらウソ800ヘルツでしたね」と祝電?を打ってやったら面白かったろうなー。
 北朝鮮の金さんよ、遠い山の向こうまで危険な物を投げて遊ぶ金があるのなら、国中の人達にスカッドミサイルではなくレモンスカッシュを、ノドンではなくウドン(饂飩)を、テポドンでなくテンドン(天丼)を、代用食でもいいからさ、腹一杯食べさせてやったらー。
           (忠九朗)


   発酵リキッド飼料によ
   る中ヨークシャー種で
   の発育性、肉質の向上

●はじめに
 食品リサイクル法の施行など資源循環型社会の構築への寄与や、一時期の配合飼料価格の高騰から、食品残さを利用した飼料化が特に注目されています。
 食品残さの飼料化技術の中では食品残さを粉砕・加水・殺菌し乳酸発酵させる「発酵リキッド飼料」化技術は最も環境負荷が少ない処理方法と考えられており、また水分の多い食品残さをそのまま利用でき、さらに従来の配合飼料と100%代替可能であること、肺炎の原因となる豚舎内の粉塵の発生が減少し抗生物質等の使用の軽減が見込まれることなどから、「地球に優しい」、「低コスト」、「安全安心な畜産物の生産」の3つの重要な要素を満たした最も時代に即した飼料といえます。
 一方でこれまでの試験では、通常の配合飼料給与に比べて特に肥育後期での発育が遅れること、枝肉の背脂肪が厚くなること(厚脂)、また、脂肪融点が低くなること(軟脂)等が課題となっていました。
 今回、当センターでは、この発酵リキッド飼料を利用し、飼料の特性、豚への影響を調査するととも


に、肉質が良好で食品残さ飼料での肥育に適した「中ヨークシャー種交雑種」を利用した給与プログラムを検討し、これまでの発酵リキッド飼料の課題を解決し、低コスト化と高品質化を両立させた生産システムの開発を試みましたので紹介いたします。
一、試験方法
 中ヨークシャー種25%交雑種(LYD)3腹16頭の子豚(体重約30kg)を用い表1の試験区設定で給与試験を実施しました。2区と3区には肥育後期の発育性の向上と脂肪融点の上昇を目的に配合飼料を約10%混合し、TDN、DCPの充足率を110%程度に設定しまし

た。
 飼料は市販の発酵リキッド飼料(県内工場で調製)及び配合飼料(肥育前期用及び肥育後期用)を使用しました。(表2)
 飼料を飽食できるよう給与量を調整するとともに毎日給与量を記録し、体重約110kgで出荷するまで毎週体重を測定しました。出荷後、枝肉の左半丸を用い、枝肉調査及び肉質検査を行いました。
二、試験結果
@発育調査結果
 30kg〜50kgでは1日当たり増体重は配合飼料給与区(4区)が発酵リキッド飼料給与区(1〜3区)を上回りました。50kg〜70kgで

は1区が最も良い発育を示しました。70kg以後では2区及び3区が4区を上回りました。また、90kg〜110kgでは発酵リキッド飼料のみ給与の1区が2区を上回る発育を示しました。(図1)。
 これらのことから発酵リキッド飼料を効率良く飽食させるよう給与量を調整することと、肥育後期における少量の配合飼料の併用とによって発育性が改善されることがわかりました。
 飼料要求率は2区が最も低く、続いて1区、3区の順であり、発酵リキッド飼料給与区が配合飼料給与区より低い結果となりました。(図2)

A枝肉及び肉質検査成績
 出荷後に枝肉検査を実施したところ、発酵リキッド飼料を給与した1〜3区は配合飼料給与の4区に比べ、枝肉歩留まりが高い傾向が見られました。背脂肪厚については1〜3区は4区に比べ厚くなりました(表3―1、3―2)。
 枝肉検査終了後、胸最長筋を採取し肉質検査を実施したところ、1〜3区は筋肉内脂肪含量が多い傾向が見られました。クッキングロス、シェアバリューは試験区による違いは認められませんでしたが、ドリップロスは1〜3区がやや多くなりました。
 皮下内層脂肪の脂肪融点を測定し

たところ、発酵リキッド飼料給与のうち、2区では配合飼料給与の4区より高い温度を示しました。一方、1区、3区については4区よりやや低くなりました。ただし、一般的に軟脂とされる32℃はいずれの試験区も上回っており、問題のない結果となりました。(表4)。
 同じく、皮下内層脂肪を用いて脂肪酸組成を分析したところ、発酵リキッド飼料給与の1〜3区は配合飼料給与の4区に比べ、不飽和脂肪酸であるC18:1(オレイン酸)、C18:3(リノレン酸)が有意に多く、C18:2(リノール酸)が有意に低いという結果となりました。これらの脂肪酸は、特に食肉の

風味や舌触りに影響すると言われており、発酵リキッド飼料給与によって生産された豚肉の大きな特色と言えます。(表5)
三、まとめ
 今回の試験から、発酵リキッド飼料肥育での後期、特に約70kgから少量の配合飼料を混合すること(3区)で肥育後期の発育が大幅に向上すること、豚肉の脂肪融点の上昇が可能になることがわかりました。また、枝肉歩留が高いこと、筋肉内脂肪含量が多いこと、脂肪中のオレイン酸、リノレン酸の含量が多いこと等、発酵リキッド飼料給与豚肉の特徴は肥育後期に配合飼料を混合しても変わらないことがわかりました。

 一方で、厚脂の問題については、今回の試験では解決されませんでしたので、今後、肥育後期における配合飼料の混合量の調整や、単体飼料・他の食品残さの併用等を検討する必要があります。
 今回の結果から、発酵リキッド飼料給与で配合飼料と同等の発育が可能であること、特徴があり肉質に優れる豚肉の生産が可能だということが示唆されました。
 また、肥育前期から出荷まで基本的に単一の飼料で飼育できること、飼養管理・生産コストの点からも発酵リキッド飼料の利用は有効であると考えられました。
 今後も、より低コストで高品質、高付加価値の豚肉生産が可能になるように研究を進めていきたいと思います。
(神奈川県畜産技術センター
     畜産工学部 山本 禎)
この記事の詳細は、神奈川県畜産技術センターHP研究情報&技術情報


 平成21年4月1日付けの神奈川県の定期人事異動により大野山でも渋谷次長と甲斐主査が転出し、新たに吉田次長と近田主査が加わりました。2人とも以前大野山にいたことがありますので顔を見ていただければ直ぐにお分かりになると思います。特に、21年度入牧牛は近田主査が担当し、20年度入牧牛は白石主任技師が昨年度に引き続き担当します。お預かりしている牛についてご意見やご質問等ありましたらいつでも気楽に大野山へご連絡いただければと考えておりますのでよろしくお願いいたします。
 21年度牛は、4月13日現在で39頭が入牧しました。今年の牛達は例年になくおとなしくいい子ばかりで、餌の好き嫌いが少なく、牛舎内を駆けずり回ったり仲間と喧嘩する牛が見られず、我々からするとおとなしくて扱いやすく楽なのです


が、放牧地に出した時、自分で青草を十分食べてくれるのか気になっていたところ、大野山での生活に慣れるにしたがって、育成配合や乾草を十分食い込めるようになり、風邪をひくこともなく元気いっぱい牛舎内を駆けずり回り、まるで放牧地へ出るのを楽しみに待っているかのようです。これらの牛達は4月23日から馴致放牧を経て本放牧へ移って行きます。20年度牛は、4月上旬からの馴致放牧を経て本放牧に入っており、青草が一番美味しいらしく補食として給与している乾草には目もくれず毎日ガツガツ青草を食べています。5月ともなりますと、青空の下、青草と戯れる牛達の元気な姿が大野山のあちらこちらで見られハイキングに来られた方々を楽しませてくれます。
 5月は、ヘリコプターによる放牧地への肥料散布や一番草のロールベールラップサイレージ作り等草地作業が本格化する月でもあります。草地作業は、雨の影響を受け中途半端になることが多いのですが、職員一同頑張っています。
 (大野山乳牛育成牧場長 前田)